吉川団十郎「ああ宮城県」(明星 YOUNG SONG 1976年7月 シリーズ フォーク異人伝2)
■ジャケット掲載サイト
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■レビュー紹介
シリーズ フォーク異人伝2 にっぽんフォーク“宮城県代表”・吉川団十郎 オレはアマチュア 才能じゃなく根性でやるしゃ
「ああ宮城県」 吉川団十郎 作詩・作曲 ●吉川団十郎・歌 http://www.uta-net.com/song/141378/ (歌詞リンク) ©1976 by YAMAHA F.M.E.
トレードマークの帽子をかぶり、しゃべると東北弁まるだし。変わりダネが多いにっぽんフォーク界でも、ひときわ異彩を放つ団十郎。「オレはゼッタイ、プロにならねえっしゃ」という彼の素顔のすべてを──。
気どりのない素朴さ。生まれ故郷では“標準語”の東北弁をそのまま使って、心から正直に語りかけるDJぶりが大人気だった。1974年10月から75年12月まで、東北放送の『ジャンボ・リクエストA.M.O.』。東京では75年10月から76年3月まで、ニッポン放送の『団十郎参上』。そしていままた東北放送で『東京だよ団十郎』、フジTV系『愛情ゼミナール』の中の『団十郎のばっちゃま元気かや』にレギュラー出演中。
──『ああ宮城県』はいつごろ作った曲なの?
「2年ぐれえ前っしゃ。仕事で秋田県さ行っでで、夜おそくなったわけ。ひとりで汽車のってだら、さびしいっちゃ。ああ早ぐ宮城県さ着がねえかと思ってたら、そんとき県境こえたっちゃ。それで、こういうふうに宮城県を思う気持ちを歌にしでえと思ったのっしゃ。けんども、レコードさなんのには、疑問もったのっしゃ。これは、自分の個人的な歌っしゃ」
──むかし流行ったドドンパのリズムを使ったのはどうして?
「オレ、人と同じことやるの、嫌いだっちゃ。むかし、あれだけ流行って、いまみんな忘れてるけど、日本人にはぜったいウケるリズムなのっしゃ。人がやらんし…。オレいろんなもんやってみたいっつうアタマあるんだ。ホームソングや、童謡や、ロックン・ロールや、演歌なんか、いろいろっしゃ。ハワイアンあったり、英語の歌もあるのっしゃ。カタカナえの英語だけどしゃ、オレの場合は…(笑)」
昭和23年3月10日、宮城県名取市生まれ。いま28歳。9人兄弟の末っ子で、父は彼が生まれて7ケ月後に死去。
──TVや映画に出ること、どう思う?
「TVとかっつうのは、オレは重点じゃねえのっしゃ。出ても、ちっともおもしろぐねえっちゃ。歌謡歌手の中にひとりいても、場ちがいだっちゃ。だけど、1回は出てみてえっつう興味ね。つくる人には悪いけども。映画もおんなじっしゃ。いま東映の『トラック野郎』シリーズの3作めに出る話あっけど、まだ台本できてこねんだ。オレは、台本いらねえ役かも…(笑)」
──ステージは、いまどんなふうにやってるの?
オレのステージは、歌だけに重点をおいたりするんじゃねんだワ。ヘタクソだからっしゃ、100パーセント歌だけに力こめることできねえっちゃ。んだけど、与えられたステージは、はじめから終わりまで、あきさせないっちゅうことに、いちばん神経つかってるのっしゃ。中央のやつにだって、負けないっつう自信はあるんだ」
発売されたレコードは、シングルが『キューピーちゃん』(74年7月発売)と、『ああ宮城県』(76年4月)。LPが『陽陰者』(75年9月、ライブ盤)。
──『陽陰者』は、吉川団十郎一座の解散コンサートのライブ盤だけど、もういちど再結集する予定はないの?
「ぜんぜん、ねえのっしゃ。学校卒業だから、みんな働いてるのっちゃ。あのグループは、アマチュアだから、売るためにやったんじゃねえのっしゃ。東北放送で番組やってるとき、テープ流したら、LPつくってけろって、どんどんハガキくるのっしゃ。仙台の東北放送や、ヤマハやキャニオン・レコードががんばってけて、んで、LPなったっちゃ。赤字しない枚数はさばくっつう条件で、出したんだワ。都会の芸能界は、どうしても東北のほうば、見てけんねんだワ。九州だの大阪だのに、すごいアマチュアがいるっつうと、みんなして見さいくっちゃ。仙台っつうと、見さこないんだなや。歯がゆかったっつうか、くやしかったっつうか…。いまは、やったっつう感じだなや」
いま、2枚めのLPの制作準備中。6月には1週間の休みをとって、作曲に専念する予定だ。
──やっぱり、アマチュアからプロになっていくんだろうか?
「いや、本職さ、したくねえのっしゃ。オラみてえのは、芸能界さ、向いてねえかんねぇ。歌も、遊びで終わらしてええんだワ。失礼だけど、歌わしてもらってるだけで、幸せっしゃ。仙台さ、自動車修理工場ば、つくるのがユメっしゃ。」
──曲づくりは、順調にいきそう?
「レコードにするっつうと、リキミすぎるっつうか、つくれねえんだよな。だけど、オレはやっぱり自分の歌は、自分しかつくれねえっちゃ。だから、根性でつくんのっしゃ。才能でねくてね。みんなの期待さ、こたえっからね」
(明星 YOUNG SONG 1976年7月 シリーズ フォーク異人伝2)
吉川団十郎 - Wikipedia
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