昭和の歌本 楽曲レビュー集

月刊明星・月刊平凡の付録歌本の楽曲レビューを振り返るブログです。

人気作家インタビュー第4回 ぼくのベスト・コレクション 林哲司 明星 YOUNG SONG 1984年8月号

人気作家インタビュー第4回 ぼくのベスト・コレクション 林 哲司(はやし てつじ)

明星 YOUNG SONG 1984年8月号

 

プロフィール

S・24・8・20生まれ。中学時代はブラス・バンドに所属しながらも、当時大流行のエレキ・ギターに興味を持つ。高校在学中は加山雄三にショックを受け、作詩・作曲を始める。大学へ進学してからヤマハの音楽雑誌の編集などの仕事を経験して、S48にLP「ブルージェ」でシンガー&ソングライターとしてデビュー。その後、CMソングなどを手掛けながら、竹内まりやの「September」で作曲家として注目される。現在F&R系アーティストにはもちろん、明菜、ちえみなどのアイドルにも多くの作品を提供する、ポップス系作曲家の第一人者。

 

ぼくは和製ポップス新世代だ!

 

「悲しい色やね」「悲しみがとまらない」そして「北ウイング」の作曲家としておなじみの林哲司さん。「今はひと月に10曲から15曲は作ってますね」というほどの人気作曲家なのだ。あのシャレたメロディの作品は、どのようにして生み出されるのか、その秘密をじっくり聞いてみたよ。

 

僕に最初に音楽を教えてくれたのは兄貴たちだった

 

僕にはひと回り以上年が離れた兄貴が2人いましてね。だから音楽に接したのは、かなりはやかったんですよ。4~5才の時に、「テネシー・ワルツ」を蓄音機で聴いてたのを覚えてます。とにかく兄貴たちの聴く音楽が、雪村いづみニール・セダカプレスリーと移りかわるのを、そのままストレートに僕も経験しちゃったんですね。

子供の頃から歌うことは大好きだったみたいでね、となりの家の茶の間にあがりこんで、美空ひばりをフリつきで歌っちゃったこともありました。その後は、小林旭の“渡り鳥シリーズ”の歌にシビレてよくマネしてましたね。実は今でも演歌はけっこう好きなんですよ。そして小学校高学年あたりから映画音楽が好きになりまして、僕が最初に買ったレコードというのが、ジョン・ウェイトン主演の映画「リバティ・バランスを射った男」のサントラ盤でしたね。その主題歌の作曲者が後にカーペンターズなどを世に送り出したバート・バカラックだったんですよね。もちろん彼は無名に近い作家だったけど、その当時からいい曲を書いていましたよ。

中学の時はブラス・バンドに一応いたんですが、世の中がベンチャーズの出現で大エレキ・ブームになってたんですよね。さっそく僕もエレキ・ギターを始めまして、学校などで、“テケテケケテ”なんてやってましたね。でもその頃はエレキ=不良、という目で大人たちは見てた時代だから、今の人たちのように自由に練習できる環境じゃなかったなあ。それでも坊主頭で学生服を着てエレキを持つ、というおかしなカッコで、けっこう仲間と練習してましたね。もちろんビートルズも大好きでしたよ。僕は今でもそうなんだけど特にポールが好きでね。「AND I LOVE HER」なんてよく聴いてましたね。

 

加山雄三の出現が僕の生きかたを大きく変えた

 

つづく・・・